勇知川カヤックを体験してみた

カヤックって何?

「カヌー」が基本的にオープンデッキ型を指すのに対して、「カヤック」は基本的にクローズドデッキ型を指すが、広義ではカヌーという言葉の中にカヤックを含める場合も多い。

Wikipediaより)

私が乗ったのは、ポリエステル繊維の布でできていて、組み立て式のアルミフレームが骨組みになっている1~2人乗りの船。イメージ的には、お座りする形で乗るカヌーと比較すると、船の中に足を潜り込ませるような形になるので目線がより水面に近くなります。

今回は、勇知川を下ったり登ったりしながら河口付近で休憩を取るコースに挑戦です。

カヤックのことを何もしらない私は、ガイドさんにお世話になりました。初心者だったらみんな黙ってガイドにお願いすればよい、というのが私の結論。

ガイドは道北エリアに詳しい嶋崎さんで、同世代の御年40歳。素晴らしいガイドさんで、安全管理をするために時としてビシっと、自然鑑賞中はまるで黒子のようにヒッソリと、そして私の女子トークにも付き合ってくれるお人柄の良さ。勇知の森に負けないくらい、嶋崎さんが癒やし成分を放ちます。

さて、待ち合わせは13時に「こうほねの家」。浜勇知にある展望ポイントです。稚内中央に位置するモシリパから車で25分。夕陽丘パーキングから抜海港を抜け、さらに海側の道を南下します。

…話は逸れますが、道中の車のテレビでNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」を初めてチラ見。内容に惹きつけられてしまって音声を聴きたいのに、街から離れるに連れ電波が入らなくなる。これは自然豊かな北海道あるある現象ですが、この息を呑む美しい景色と引き換えにできるのなら無条件に手放しましょう! 抜海港からこうほねの家に向かう道は本当に気持ちが良いのです。

ちむどんどんが終わる13時前。こうほねの家に到着。「こんにちはー!よろしくお願いします」と嶋崎さんと挨拶を交わしたら、早速、携帯電話を入れる防水ケースや貴重品を入れる防水バッグを手渡されました。これから嶋崎さんの車でカヤックのスタート地点に向かいます。

カヤックは車の上に積んであります。車内から見るとこんな感じ。二人で乗れるタイプのものが一隻。初心者がいきなり一人で乗るわけにはいかないので、嶋崎さんと同じ船に乗ります。

数分でスタート地点に到着です。

服装は、サンダル、着替え一式、タオル、濡れても良い服装、防止、飲料、日焼け止め等と丁寧に前情報をいただいておりましたが、うっかり長靴でやって来てしまう私です。けれど実際は草が生い茂っているので長靴でも良かったかも? 本当は水辺専用の防水の足袋みたいなあのあれがベストなんでしょうか。まあ普通持ってませんよね。(笑)

カヤックを車から降ろすと、カヤックの中に入れる空気袋に手動ポンプで空気を入れます。ポンプを2つ持ってきてくれていて、ひとつは嶋崎さん、もうひとつは私で。腕立て伏せすらできない私にとってはちょっと大変でしたが、こんなこともできないんじゃあ乗る資格はネェ!と頑張りました。全てをお膳立てしてもらいつつもちょこっと手伝わせてもらえると、カヤックの造りを少し理解できたりして良いですね。

パドルの使い方や、水に落ちてしまった場合などのレクチャーを受けた後、いよいよカヤックの先が水に着くくらいの場所まで船を持ち上げて運び、まず私が乗り込みます。次に嶋崎さんが船を押し、船が完全に水の上に浮かんだら最後に嶋崎さんが船に乗り込みます。

さあ、始まります。カヤックの旅!

勇知川は流れが穏やかなので、河口から上流に向かって漕ぐことができるそうで、川上に向かって漕ぎました。私はズルしてちんたらパドルを動かしながら、後ろに乗っている嶋崎さんにほとんど操縦してもらいます。


静か。深呼吸したくなりました。


川の幅もそんなに広くはなく、両側から緑が迫ってくるので、こじんまりとした落ち着いた自然を楽しめます。とってもフレンドリーな川なんです。鴨が泳いでいたり、何かの鳥(嶋崎さんが教えてくれますが悲しいかな忘れます)が鳴いていたりと、もう最高です。カヤックは手動なのでもちろんエンジン音はしないし、パドリングで出る水の音も心地良いです。

奄美大島でもカヤックをしたことがある嶋崎さんは、「マングローブ林が生い茂っていた様子が、勇知川の両側から木の枝がせり出す感じと似ている」と話してくれました。

青いきれいなカワセミが、我々のカヤックから逃げるように飛び立ちます。嶋崎さん曰く、カワセミは自分の陣地からあまり遠くへは離れないそうで、あるポイントでUターンしたのか、我々の復路でも何度か青く光る小さな体を見せてくれました。「幸せの青い鳥」に会えたような気分。

折り返し地点からは、河口へ下ります。行きと帰りで川の様子が少し違って見えるのもゆっくりすすむカヤックならではでした。1時間ほど川の上を楽しんだら、河口付近で休憩します。

川から海に変わる瞬間。一気にひらけた大空と海へと景色が変わり、ザザーッと波が迫り来る。潮風が強い。海が好きな私でもひっそりとした勇知川にまた戻りたくなるような感覚は、人生37年目の新発見でした。

「鹿の道」という意味のアイヌ語「ユクルゥ」にふさわしく、鹿の足跡がありました。これも嶋崎さんに教わりました。

コーヒーを入れてくださいました。

準備、川下り、河口付近での休憩をトータルすると3時間程度。スタート地点に戻り、記念撮影。「ポーズしてください」とまじめな嶋崎さんにまじめに言われてまじめに従った結果、観光地の中国人のおばちゃんみたいになったので、イカしたポーズを研究させて欲しいと思いました。

コウホネの家に戻ったのは16時ころ。家につく頃にはすっかり晩ごはんの支度をする時間になっていました。振り返ってみても勇知川は夢のような世界で、近郊の方にもぜひおすすめしたいです。

詳細
○勇知川3時間コース
・料金9,000円/人
・参加可能人数1人〜3人まで
・漕ぐ距離は2~4km程度(1~1.5時間程度)、残りはカヤックのセットアップ、準備体操、レクチャー、砂浜での休憩(遊び)
・保険料、ライフジャケット、防水スマホケース、防水バックは料金込み
・待ち合わせは今回こうほねの家を使用、車がない場合は稚内市内まで送迎可
・持ち物:サンダル、着替え一式、タオル、濡れても良い服装、帽子、飲料、日焼け止めなど
・要予約:嶋崎さんの予定があいていれば前日までに予約ができる

嶋崎さんが運営されているPolaris(ポラリス)
ホームページ
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Instagram
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